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外に出ると、もう辺りはすでに暗くなっていた。雨は止んでいるが曇り空なのは変わりない。少し湿った風が真奈美の頬を撫でていった。
いつも通りの帰宅路を歩きながら、いつもとは違う帰り道。
隣には正人がいて、普段男の子と2人きりで歩くことなど滅多にない真奈美は少し緊張していた。
「家まで送ってくよ」
「ええ、い、いいよ、そんなの悪いよ」
「あはは、そんな慌てなくてもいいって。送らせてよ。……あ、それともそーいうのって迷惑?」
少し心配そうに尋ねてきた正人に、真奈美は慌ててはち切れそうなくらい首をぶんぶんと横に振った。
「ち、違……、そんな、だって遠回りになっちゃうでしょ?」
「そんなことないよ」
けれど正人はそんな真奈美ににっこりと微笑むを向ける。真奈美は彼を見つめたまま足を止め、それから慌てて口を開いた。
「……あ、ありがと」
少しだけ赤くなった顔を隠すため、小さく俯いた。
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