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帰路を辿り始めて早5分、大通りを抜け、2人は静かな住宅街を歩いていた。電灯が一定感覚にぽつりぽつりと立ち並び、地面にある水溜まりを照らす。他愛もない会話を交わしながら彼と歩く道は真奈美の心をほんのりと温かくした。
そうしてあっという間に家の前まで辿り着き、真奈美は小さな寂しさを覚える。お礼を言おうと口を開きかけたところで、正人があっと小さく声を上げた。
「そういえばこれ。公園で拾ったんだけど返すタイミング掴めなくて……。これ、石井のだよね?」
「え……?」
正人が鞄の内ポケットから取り出したものは、小さなお守りときっちり2つに折りたたまれた真新しい紙だった。確かに真奈美のものだった。
紙。
「きゃーっ」
それが何だか分かった瞬間、真奈美は大きな悲鳴を上げた。
テストだ。今日の数学のテストだ。
慌てて正人からそれを受け取ろうとするが、慌てたせいでどちらともに取り損ねてしまい、お守りは地面へぽとんと、テスト用紙はひらりひらりと地面へ舞っていった。
ひらりひらり。
そして2つに折られた紙はただ1枚の紙になる。
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