世界の中心に暴君 第一章

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『ねぇ、これ何』 『凛子様、どうしてそれを』 『天眞の部屋の机の引き出しに入っていた。ねぇ、この手紙の返事、どうしたの』 『また私の部屋に入って勝手に引き出しを開けたのですか』 『そんな事はどうでもいいのよ! それよりこのラブレターの返事、どうしたのよ!』 『勿論丁重にお断りしました』 『だったらなんでこんな手紙持っているのよ。他にも沢山あったけど』 『気持ちがこもったものを無碍(むげ)には出来ません。いずれきちんと焚き上げようと取っておいただけで──』 『そんな事するまでもないわよ。私がこうやってぜーんぶ破いてやったから』 『……』 『天眞は私のお世話係なんだから私以外の女とどうこうなるなんて絶対許さないから。それ、天眞はちゃんと分かってるの?』 『はい、重々承知しています。私は一生涯、凛子様をお世話するために生きています』 『そう、分かっていればいいの』 『……』 (あぁ……そういえばそんな事もあったわね) 昔からモテていた天眞がラブレターを貰って来る度に部屋に入り込んで探して見つけては片っ端から破いていた。 それは単に私の所有物である天眞が私以外の女に関心を向けることが許せなくて取った行動だったけれど──…… (今思えば私、天眞には色々酷い事をして来たかも) なんだかフワフワした感覚の中で色々思い出し、気持ちが暗く沈んだ。
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