暴君と秘密の彼女

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天眞に限って浮気なんて考えられない。 だって私にゾッコンで結婚するっていってくれたし、会社の人にだってまだ結婚前の私を妻だと言っているくらいだ。 (そうよ、天眞は私を裏切らない) 何度も何度もそう心の中でいい訊かせる。だけど…… (じゃあこの行動の真意は何だっていうのよ!) 私の知らないところで繰り広げられた疑惑行動の数々。 それはいくら天眞を信じていても払拭出来ないくらいの怪しさでいっぱいだった。 ──正直どうやって帰って来たのか記憶にない。 というかよく無事に家まで帰って来られたなというのが率直な感想。 「はむっ……ん、んっ」 帰宅した私は持ち帰ったお弁当を黙々と食べていた。 「ん、んんっ」 相変わらず粗食なお弁当で、あっという間に食べ終わってしまった。お茶をゴクゴクと流し込んでドンッと湯呑を卓袱台に置いた。 「天眞ぁぁぁぁ~~~!」 今の私は訳の解らない怒りでいっぱいだった。 天眞を信じたいという気持ちと、でももしかしたら天眞に騙されているんじゃないかという疑惑の気持ち。 その両方がギリギリとせめぎ合っていてどうしようにもないどす黒い気持ちでいっぱいだった。 (そうよ、昔から大金を手にした男は色に走るっていうし!) いつか何処かで見聞きした中途半端な知恵を持ち出し益々落ち込む。 だって天眞の会社が大きく成長している事実を知らなかったからこの質素倹約の生活も納得出来ているところがあった。
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