暴君と秘密の彼女

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「天眞、先にご飯にする? それともお風呂──」 「その前に話がある」 勿体振って焦らそうと思っていた矢先、天眞が真面目な顔をした。 「話って?」 「……」 天眞が座っている隣をトントンと叩いたので其処に座った。 「えーっと……だな」 「うん」 「……その」 「……」 「……」 「何なの?」 何故か天眞が言い難そうに口ごもった。こんな天眞は珍しかった。 「だから、その……結婚式の件、だが」 「うん」 「すまないがもうあと半年ほど先に延ばさせてくれないか」 「──は?」 天眞のその発言はまるで先手を打たれたような気持ちにさせるものだった。 (何をいうのかと思えば……) 「あと半年……いや、もしかしたらもう少し先……になるかも」 「……」 「というか、具体的な式の話はしばらく止めないか?」 「……」 (なんで……なんで急にそんなことを……) 天眞だって私のウェディングドレス姿を見たいと言っていたのに。 どうして急に式を先延ばしにしたがっているのだと考えると──…… (! ──あぁ、そう。そういうこと) 「凛子、訊いているか」 「~~~天眞ぁぁぁぁぁぁ!!」 「?!」 今まで抑えに抑えていた感情をここに来て一気に爆発させてしまった。 「天眞の馬鹿! 私に隠れて浮気してんじゃないわよ!」 「はっ?! う、浮気?!」 「とぼけるんじゃないわよ! 私、ちゃーんと知っているんだからね! 今日の昼間、ホテルで密会していた髪の長い女のことよ!」 「!  なっ、なんで凛子がそれを──」 私の言葉に天眞の顔色が瞬時に青くなった。
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