暴君と秘密の彼女

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「はぁはぁ、はぁはぁ……」 「やっと落ち着いたか」 「はぁ……っ、お、落ち着かせるために……キス、したってこと?!」 「そうだ。さぁ、全部話せ」 「え」 「何故いきなりこんな暴挙に出たのか。その理由を全て俺に話すんだ」 「~~~」 (どうして形勢が逆転しているのよ!) ほんの少し前までは私が優勢だった。なのに何故不義を犯した天眞が威張っているのだろうと憤りを覚えた。 「おい凛子。訊いて──」 「何よ、そんな偉そうに! なんで私が怒られなきゃいけないのよ!」 「……何?」 「そもそも天眞が浮気しているからいけないんでしょう?! それを怒って私が暴れたってそれは正当防──」 「どの口が正義面吹かしてんだぁ、あぁ?!」 「い! いひゃ……いひゃい!」 いきなり天眞に両頬を引っ張られ痛みが走った。 「凛子、おまえは何も解っていない」 「にゃ……にゃにが」(※な……何が) 「おまえが俺に手を上げてもいい時は俺がおまえを裏切った時だけだといっているだろう」 「りゃ、りゃからしょれがいみゃじゃ」(※だ、だからそれが今じゃ) 「俺はおまえを裏切っていない」 「らって……らって」(※だって……だって) 「──まぁ、いい。理由を訊くのは仕置きが済んでからだ」 「えっ! し、仕置き?!」 やっと頬を放された──と思った瞬間、天眞は緩めていたネクタイを解きそれを器用に私の両手首に巻き付けた。
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