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「……ごめ……ん……天、眞……」
口にした言葉と、なんだか妙な温もりで意識が浮上して来た。
「……ん?」
「目が覚めたか」
「……」
すごく近くで聞こえた低い声にぼやけていた思考が徐々に覚醒して来た。
「目が覚めたならこの手をどけろ」
覚醒した私の目に前にあった顔に盛大に驚いた。
「きゃ、きゃぁぁぁぁっ!」
「煩い。何時だと思っている」
「な、なっ……な、な、な、な……」
なんで……
なんで……
(なんで天眞が私に覆い被さっているのぉぉぉ──?!)
「あ、あっ、あんた!」
「一応いっておくが別におまえを襲った訳じゃない。何か寝言をいっていたから訊こうとして近づいたらいきなり俺の胸ぐらを掴んで顔を寄せたんだ」
「はっ? わ、私が?! なんで?!」
「それは俺の方が訊きたい」
「~~~」
(ちょっと……待って)
なんだか色々訊きたい事が山積みで……だけど……
(な、何から訊けばいいの?!)
戸惑いながらも上半身を起こし周りの風景を見渡した。すると其処は狭い和室だった。
「こ、此処、何処? 私、確か門に向かって歩いていたはず」
「門の横のベンチに腰掛けて寝ていたぞ」
「えっ」
「そのまま放置していてもよかったが、もはや所有者でもない人間が敷地内にいたとあっては後々問題になるから仕方がなく俺の家に連れて来たんだ」
「い、家?! 此処が天眞の?」
(いや、何処からどう見ても狭過ぎでしょう?!)
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