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涙を零している私を天眞は見つめ、そして少し申し訳なさそうに話を続けた。
「──だが此方が希望していた日にちには帰れそうにないと……元々年単位の長期航海らしく早くてもあと半年は帰れないと言われた」
「!」
「だから式はそれまで延期したいと……俺の勝手な要望なんだが。でも凛子が式を挙げるのを愉しみにしている様子を見ていると不確かな情報のままで社長の事情をいうことが出来なかった。ある程度確信出来るまでは変に期待を持たせるのも可哀想だと思ったから中々切り出せなくて今日までズルズルと延ばしてしまった。それで詳細が判明した今日、凛子に全てを話そうと思った途端にあの訳の分からない暴挙だ」
「っ、ご、ごめん──あっ」
未だに終わらないお仕置きでユサユサと揺すられる度に涙と喘ぎ声が漏れる。
「まぁ、誤解とはいえ浮気を疑った凛子があれほど暴れるとは……。本当におまえは俺のことが好きなんだな」
「……す、好き、だよ」
途切れ途切れの言葉に満足そうな笑みを浮かべた天眞は更に深く私を翻弄した。
「凛子、俺はおまえ以外の女なんて要らない」
「ん、んぁ」
「例え凛子以外の女といたって俺の頭の中には凛子だけしかいない」
「ん、ん」
「浮気したと思われて嫉妬されるのが嬉しい男もいるのかも知れないが俺は違う。こんなに愛していてもまだ浮気するように思われているだなんて考えたら無性に苛つくんだよ」
「あぁぁっ!」
「まだ俺の愛し方が足りないのかと情けなくなるんだよ」
「───っ」
天眞の私に対する強過ぎる愛情は濃厚な行為となって体と心の隅々まで刻み込まれた。
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