暴君とクリスマス

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私、早乙女凛子はずっと夢見ていたことがあった。 それは彼氏が出来たらクリスマスイヴからクリスマスにかけて一緒に過ごすという夢! (24日の夜から25日にかけてふたりっきりで過ごせたら幸せじゃない?!) 小さな頃から夢見ていた事がようやく今夜、叶いそうだと思うだけで朝からドキドキキュンキュンして仕方がない。 (まぁ、もう一緒に暮らしていて今更って感じもあるけれど……) 例え一緒に住んでいたとしてもやっぱり恋人として過ごすクリスマスはいつもとは違う時間を期待してしまうのだ。 し・か・も (なんと! 25日は天眞の誕生日でもあるのよ!!) クリスマスが誕生日だなんて素敵な事がいくつも重なって益々ドキドキワクワクが倍増しした。 という訳で、今夜は私にしては頑張ったご馳走を用意した。 洋風のレパートリーはまだ少なかったから和風のご飯になってしまったけれど、ちゃんとバースデーケーキも用意した。 (日付が変わる0時になったらロウソクの火を消してもらうの) 頭の中で繰り広げられる初めてのお祝いにどうしたって顔が緩んでしまう。 「気持ち悪い」 「!」 いきなり後ろから囁かれた言葉と声にドキッとした。 「なんだ、先刻からニヤニヤして」 「あ……て、天眞、帰っていたの?!」 いつの間にか帰宅していた天眞がニヤけている私の顔を怪訝そうに見つめていた。
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