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「此処から出て何処へなりと行けばいい。自分で部屋を借りて仕事を見つけて自立して生活するために朝から晩まで汗水垂らして働くといい」
「……」
「それがおまえに出来るのか? 出来ないだろう? 所詮は温室育ちの根っからの我がままお嬢のおまえには」
「……」
「それともおまえを囲ってくれる男でもいるか? いるなら其処へ行けばいい」
「……」
「まぁ、どうでもいい。ただ此処が嫌なら出て行けといっているだけだ」
「………ひ」
「なんだ」
「~~~ひぃっく」
「……」
訳が分からないけれど突然涙が零れてしゃくり上げだ。
いきなり屋敷を追い出され、ひとりぼっちになって行くあてもないまま途方に暮れた。
おまけに唯一頼りにしていいと思っていた天眞から投げかけられた数々の酷い暴言に私の心はポッキリと折れた気がした。
「ひぃ、ひっく……」
「──……泣くなんて反則だ」
「ひっ、ひっ、ふぇ……ぐすっ」
「くそっ」
突然天眞が私の肩に手を置きそのまま敷かれている布団の上に押し倒した。
「?!」
「よく訊け、凛子」
(は? 呼び捨て?!)
その驚きも相当なものだったけれど続けて告げられた言葉にも相当な衝撃を受けた。
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