世界の中心に暴君 第二章

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「──ろ」 (……) 「おい─……きろ」 (……?) 「起きろ!」 「!」 耳元で怒鳴られ一気に目が覚めた。 「な、何、何っ!」 「何じゃない。いつまで寝ている気だ」 「……」 其処にはスーツ姿の天眞がいた。 「俺は仕事に行く。おまえはこの家から一歩も外に出るんじゃないぞ」 「え? じゃあ私、何していればいいの?」 起き抜けで頭が回っていなかったけれど辛うじてそう問いかけられた。すると天眞は小さな丸いテーブルの上にドンッと数十冊の本を置いた。 「これを読んで出来そうな事をやれ」 「は? 何よ、その本」 「家事について書かれているマニュアル本だ。いいか、ひとつでも出来る事を見つけてやるんだ」 「出来ること……」 「帰って来たら出来るようになった事を披露してもらうからな」 「えぇっ!」 それだけいって天眞はサッサと家を出て行ってしまった。 天眞が出て行ってから居間のテーブルに置いてある食事に気が付く。 「何、これ」 其処に置いてあった食事は今まで見たことがないものだった。 茶碗とお椀が伏せて置いてあり、ラップに包まれたお皿には小さな焼き魚が3尾乗っていた。 すぐ傍に紙切れがあったのを手に取り読む。 【朝飯。ご飯は台所の炊飯器の中。味噌汁はコンロの鍋の中。めざしは冷たさが気になるならレンジでチンする事】 「何よこれ。私がやらなくっちゃいけないの?」 今までに自分でご飯をよそったり入れたりなんてしたことがなかった。だって私がテーブルに着けばすぐに給仕されていたから。
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