世界の中心に暴君 第二章

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「それにめざしって何よ」 どうやらお皿に乗っている魚の事らしいが、こんな魚、今まで食べたことがなく戸惑った。 「っていうか朝ご飯、これだけなの?!」 私にとってはあり得ないメニューだ。ご飯と味噌汁と魚だけなんて。 「苛めだ、嫌がらせだ! 天眞の奴、私が嫌いだからこんな陰湿で意地悪いことをしているんだ!」 憤った気持ちからテーブルをドンッ! と叩いた。 (昨日のセックスだって私のことが嫌いで今までの鬱憤を晴らすためにわざとやったんだ!) そう思うとなんだか泣けて来た。 一日にして性格が変わってしまった天眞に戸惑い、そして今までずっと慣れ親しんで来た優しい天眞は偽りのもので、昨日の天眞が本当の天眞なのだと知ってショックを受けた。 (ずっと騙されて来たんだ、私) 哀しい気持ちに心が支配され、しばらく何も考えられず俯いて座っていた。するといきなりグゥゥゥ~とお腹が鳴った。 「わっ! な、何よ、今の音」 それは空腹から来る私のお腹の音だった。 「…そういえば私、昨日から何も食べていなかった」 ようやくそのことに気がつき、初めて感じた空腹に切ない気持ちになった。 (お腹なんて空いたこと、なかった) 今まではお腹が空く前に何かしら食べていた。食べるものは常にあったから食べられなくなるなんて考えたこともなかった。
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