世界の中心に暴君 第二章

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それでも全く読まなかったらどうなるか──想像しただけで身震いがしたので渋々一冊手に取りパラパラとめくって見た。 だけどやっぱりものの数分で飽きてしまって読むのを止めた。 「はぁぁぁぁ、退屈!」 ゴロンと仰向けに寝転がって見慣れない天井を見上げる。 (……知らない天井) 剥き出しの木の板の天井なんて私は知らない。 キョロキョロと見渡してから徐に立ち上がり家の中を散策し始めた。 しかし散策といっても食事をした居間と布団が敷かれている部屋のふたつしかない。 あとは小さな台所とその横にあるトイレと狭い洗面所とお風呂。たったそれだけの家だった。 (こんな処で天眞は母親と暮らしていたっていうの?) 私の元に来るまで住んでいただろう家があまりにも粗末で絶句した。 (あっ、そういえば) そこでようやく思い出した。この家に天眞の母親がいないことを。 (実家っていっていたわよね。どうして母親がいないのかしら) 室内は質素なもので必要最低限の家具しか置かれておらず、母親のものだと分かるものは何もなかった。 (まさか……亡くなっているの?) 天眞から母親の話を訊いたことは一度もなかった。 私もその話をするのを忘れていたということもあって天眞の家族に関する情報はほぼゼロだった。
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