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『お嬢様、危ないですよ!』
『平気平気~~あっという間に着いちゃうよー』
『……』
『ほら、もう着いた。あっ、巣の中にヒナがいる! すごーい可愛いー』
『お嬢様、一通り見たのなら満足なさったでしょう? さぁ、ゆっくり下りて来てください』
『もぅー天眞は煩いなぁー。下からギャンギャンいわれたら気が散って──』
バキッ!
『! お嬢様っ』
『きゃ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ──』
ドスンッ!
『ぃ…痛っ』
『……』
『ん……あれ? 柔らかい』
『お、嬢さ……』
『天眞? あんたが下敷きになって……って! きゃぁぁぁぁぁ!』
『お嬢、さま……何処も、痛く……は』
『あんたっ、手、手が……へ、変な方向に曲がっているわよっ!』
『……何処も、怪我は……』
『私の心配なんてしないで自分の心配しなさいよ! ちょ、ちょっと誰かっ!救急車呼んでよー!』
『大袈裟、です』
『天眞、天眞! 死んじゃダメよ! 天眞、天眞ぁぁぁぁぁ」
(あぁ……思い出したくもない)
12歳の時の苦い記憶。
庭の木に鳥が巣を作っていて、それを見たいがために枝を伝って登って巣の中を見たのはいいけれど、下で心配して色々いっていた天眞に気を取られて足を滑らせて落下した。
落ちた私を両腕で受け止めた天眞のお蔭で私は小さな擦り傷が出来ただけだったけれど、落下によりあり得ない重さになった私の体を受け止めた天眞の腕は骨折してしまった。
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