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(あの時は本当に……流石の私も天眞に悪い事をしたなと思ったものだけれど)
『お嬢様に怪我がなくて本当に良かったです』
『……』
『でももう木に登るなんて危ない事はしないでくださいね』
『……』
『いつも私が助けられるとは限らないのですから』
『! 何よそれ! あんたは私のお世話係なんだからどんな時もいつでも私を助けるのは当然なんだからね!』
『……』
両腕がギプス姿になっていた天眞を前に素直に謝ろうと思ったのだけれど、何故か天眞の言葉を受けると本心とは違うことを言ってしまうのだった。
「ごめ……ん……天、眞ぁ」
「……」
なんだか柔らかな温もりで徐々に意識が覚めて来た。
「……ん」
「起きたか」
「……」
凄く近くで聞こえた低い声にぼやけていた頭の中が一気に覚醒した。
「目が覚めたのならこの手をどけてくれ」
「………?!」
完全に目を覚ました私は目に前にあった顔に盛大に驚いた。
「きゃ、きゃぁぁぁぁっ!」
「煩い、何時だと思っている」
「な、なっ……なななな……」
(なんで天眞が寝ている私に覆い被さっているの?!)
「あ、あっ、あんた!」
「一応いっておくが別におまえを襲った訳じゃない。何か寝言をいっていたから訊こうとして近づいたらいきなり俺の胸ぐらを掴んで顔を寄せたんだ」
「はっ? なんで」
「それは此方が訊きたい」
「~~~」
(……あれ……ちょっと待って)
同じようなやり取りをつい昨日、繰り広げたような気が……
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