暴君と秘密の彼女

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(いつの間にそんなことに!) 真実を訊かされ驚くしかなかった。 (というか天眞ってばめちゃくちゃデキる社長じゃない!) 家で見ている天眞とは大違いな一面に驚いてばかりだった。 それと同時にどうして天眞は会社がこんなに大きくなっている事実を私には教えてくれなかったのかが気になった。 「凛子様、ただ今内線で社長に連絡をお取りしますので少しだけお待ちになってくださいま──」 「ちょっと待って!」 カウンター内に置いてある電話の受話器を持ち上げた彼女の手を慌てて止めた。 「凛子様?」 「連絡しなくていいわ。私、このまま帰るから」 「どうしてですか? 折角いらっしゃったのに」 「いいから」 ここまで来る間に色々想像して喜んでいた気持ちは真実を知ってしまったことで小さく萎んでしまった。 (小さな会社だっていっていたのに……) 半年前に訊かされた天眞の言葉を嘘だとは思いたくなかった。実際その時は小さい会社だったのかも知れないから。 (でも、こんなことになっているだなんて……私、家以外での天眞のこと知らな過ぎだ) 今、目の前で繰り広げられてる現実が中々受け入れ難く、戸惑っているところがあった。 (天眞に会うのはもう少し心の整理をしてからにしよう) そう思いこのまま家に帰ろうと思った。
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