3-5 人事主任アルバール

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「さる方がどうしても中将のお墨付きを欲しがっていてな、密かに会う事を望んでおられる。私もそれがないと任命状を出せないんだ」  シャインはアルバールと同じ空気を吸う事すら嫌になっていた。  この男は陽気にふるまいつつ、裏で人の弱味につけこんで、その見返りに小金を手にしているのだろう。  だからまかり通らない人事が通ったりする。  皮肉にもシャインの昇進もきっと、裏でその事を知っているアドビスが、アルバールに圧力をかけて認めさせたに違いない。  腕をつかむアルバールの手は異様に熱っぽく、力を込めて締め付けてくる。 「放して下さい。あなたの期待には添えません」 「何もかもお膳立てしてくれと言ってるんじゃない! あんたが中将を連れ出してくれれば、その後はこっちで何とかする」  シャインは渾身の力をこめて腕を抜こうとした。  が、アルバールの両手が吸い付いたようにそれを放さない。  彼の体重もかかってびくともしないのだ。 44e3625b-c34b-428e-a593-a2818aa023b9
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