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「航海士として五年以上の乗船経験者。酒はたしなむ程度で、多少の性格難には目をつぶるが、周囲とぶつからないタイプ……でしたな」
シャインはうなずいた。
「できれば」
そう、船は出港して海に出てしまえば、どこにも逃げ場がないのだ。
まして軍艦の中では問題を起こしても、個人のプライバシーを守れる所は全くない。
アルバールは外套の大きなポケットの中から茶封筒を取り出した。
そして目をさらに細めつつ言った。
「この中に何人か航海長候補として絞った者達の経歴書類を入れています。お好きな人物がいましたら教えて下さい」
「ありがとう」
シャインは手を伸ばして封筒を受け取ろうとした。
が、それはすすっと、アルバールの方へ引き寄せられた。
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