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「……どういうことです?」
むっとしたシャインは不快さを思わず露にして、目の前の小太り軍人の赤ら顔を見つめた。
「グラヴェール艦長。御存知だとは思いますが、いくら艦長といえど、自由に自分の船に乗せる人間を決める事はできません」
「……なら、あなたが選んだ人間を教えてくれればいいじゃないですか」
アルバールは大きく首を振って、そっと声をひそませた。
「それで満足します? 確実に条件を満たさない人間がやって来ますよ?」
シャインは疲れたように椅子の背にもたれると、グラスをかたむけながら、ため息をついた。
――結局行き着く先はこうなのだ。
いつだって、何かを求めれば見返りが必要なのだ。
艦長が自分の船に乗せる人間を選べないなんて、そんな馬鹿な話、誰が信じるだろうか。
だがそう言い張った所で、アルバールは首を縦に振らないだろう。
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