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「乗せたい人間を選べる権利に支払うものは一体なんです?」
アルバールは、思っていたシャインの反応にさぞかしうれしかったのだろう。
総毛立つくらいの武者震いをして、口元がぴくぴくと引きつっている。
「さすが……わかっていらっしゃるから、話が早い」
「……」
シャインは黙っていた。
体を暖めてくれた酒の酔いも、どこかへいってしまった。
「いえ、なに、そんな難しい事じゃないんです。ちょっと……お父上グラヴェール参謀司令に、個人的に会わせて欲しいと言う方がいるので、あなたから是非にお話を……」
「お断りします」
シャインは冷たく言い放った。
ひたと正面からアルバールを見据えて。
「そんな、即答しなくても」
シャインの睨みにたじろぎながら、アルバールはもみ手をして愛想笑いを浮かべる。
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