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「椅子がないのでこの机をずらして持って来て、寝台に腰掛けてもらわなくてはならないんですが……」
きまり悪そうにシャインは頭をかいた。
「いや、気にするな。そんなことは無用だぜ。こんな上等なじゅうたんがあるじゃないか。俺は別に、床に座って食うのには慣れてる」
ヴィズルはどっかと腰を下ろすと、あぐらをかいて寝台の縁に背中を預けた。料理の盆も下ろす。
シャインはヴィズルの隣へ腰を下ろし足を投げ出すと、同じように寝台の縁へもたれた。
「すみません……」
「飲むかい?」
自分の持っていた紙袋から、ヴィズルは酒ビンを手にしていた。
濃紺色のビンの色からして、シシリー酒のような果実酒の類いのようだ。
断ろうかと口を開こうとしていた時に、ヴィズルはシャインに酒ビンを手渡していた。
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