87人が本棚に入れています
本棚に追加
「海軍の陸上勤務者がつけている襟章です。名前と階級が明記されています」
シャインは右手でそれを弄ぶと、再びポケットの中へしまいこんだ。
脳裏に人事主任アルバールの赤ら顔が浮かんだ。
普段から後ろ暗い事をやっている男だ。ひとりで外を歩くような人間ではない。その行動は予想を裏切って、素早いものだったが。
「馬鹿な刺客だな。自分の正体がわかるものをつけたまま、凶行に及ぶか?」
「よっぽど自信があったんじゃないのかな。それより……今度は俺が聞いてもいいですか?」
ヴィズルは興味深げにシャインの顔を見た。
どうぞ、といわんばかりの笑顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!