3-7 ツウェリツーチェのあごひげ

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「何だい?」 「アスラトルへは観光ですか? いや、仕事かな。流暢なエルシーア語ですし」 「はは、俺の容姿はここらじゃ……目立つもんな。ま、仕事って言っとこうか。シャイン……あんたは、海軍の士官なんだな。随分若いのにたいしたもんだ」  そんなことを褒められても(お世辞でも)、シャインは少しもうれしいと感じなかった。むしろ、酒のせいでやっと高揚した気分が下がった。 「……軍人なんて、つまらないさ」  吐き捨てるようにつぶやくと、シャインは酒ビンを再びあおった。  大きく息をついて、視線を宙に彷徨わせる。 「だが、仕事に見合うだけの収入はあるようだし、根無し草の俺にとっては、実にうらやましい限りだぜ?」  シャインの機嫌をうかがうように、ヴィズルは優しく話しかけた。 「うらやましい? それは俺の方ですよ。あなたは……好きな時に好きな所へ行ける……」 「そりゃ、そうともいうけどな」 「俺は……ずっとあの人に縛られている」 「シャイン」  今まで微笑を絶やす事なく、笑顔だったヴィズルの表情が曇った。  それに気がついたシャインは、慌てて彼の方を向いて取り繕った。
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