3-9 代役の航海長

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「……何なのです、あの無礼な男は。海軍の人材不足はわかってますが、もう少しマシな性格の者はいなかったんですか?」  ヴィズルの姿が消えた途端、ジャーヴィスは嫌悪感を隠す事なくつぶやいた。 「航海士としてはツヴァイス司令のお墨付きさ」 「えっ!」  シャインはざっとヴィズルの経歴をジャーヴィスに語った。  しかし副長は相変わらず固い表情のままだった。 「腕がいくらよくても……私は……あんな礼儀知らずな人間は嫌いです」  どうもジャーヴィスとヴィズルの間には、はや亀裂が入ってしまったようだ。  修復がかなり難しいほどの……。 「ジャ-ヴィス副長、確かにヴィズルは口が悪いが、人間としては君が思っているほど酷くない。それだけは信じて欲しい」 「あなたが決めた事です。私はそれを非難するつもりはありませんから」  ジャーヴィスは傷ついた目で一瞬だけシャインを見つめた。 「さあ、発令部があなたを待っています。できるだけ早く来るようにと言われています」  シャインは軽くうなずいた。 「ありがとう、ジャーヴィス副長。すぐ行くよ。……悪かったね、休暇中なのに」 「いいえ、これが私の務めですから」  ジャーヴィスがやっと硬い表情を崩して微笑んだ。
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