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「……何なのです、あの無礼な男は。海軍の人材不足はわかってますが、もう少しマシな性格の者はいなかったんですか?」
ヴィズルの姿が消えた途端、ジャーヴィスは嫌悪感を隠す事なくつぶやいた。
「航海士としてはツヴァイス司令のお墨付きさ」
「えっ!」
シャインはざっとヴィズルの経歴をジャーヴィスに語った。
しかし副長は相変わらず固い表情のままだった。
「腕がいくらよくても……私は……あんな礼儀知らずな人間は嫌いです」
どうもジャーヴィスとヴィズルの間には、はや亀裂が入ってしまったようだ。
修復がかなり難しいほどの……。
「ジャ-ヴィス副長、確かにヴィズルは口が悪いが、人間としては君が思っているほど酷くない。それだけは信じて欲しい」
「あなたが決めた事です。私はそれを非難するつもりはありませんから」
ジャーヴィスは傷ついた目で一瞬だけシャインを見つめた。
「さあ、発令部があなたを待っています。できるだけ早く来るようにと言われています」
シャインは軽くうなずいた。
「ありがとう、ジャーヴィス副長。すぐ行くよ。……悪かったね、休暇中なのに」
「いいえ、これが私の務めですから」
ジャーヴィスがやっと硬い表情を崩して微笑んだ。
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