87人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっそうだ。その前にロワールへ顔を見せておかないと」
「は?」
ジャーヴィスはあっけにとられてシャインの顔を凝視した。
「今日会いに来るって言っちゃったからさ。発令部へ行くと何時に出られるか分からないから、彼女に会ってから行くよ。……じゃ、また六日後に……」
シャインはそこでふと思い出した。
「週末の海軍省主催の船霊祭には顔を出すよ。君も来るんだろう?」
「ええ。そのつもりです」
ジャーヴィスの瞳が一瞬宙を泳いだ。
いつも隙を見せない彼にしては珍しい。きっと『船霊祭』にはリーザ・マリエステルも来るのだろう。
彼女はシルダリア方面へ航海に出ているが、急送連絡文書の運搬だから、それまでにはアスラトルへ帰ってこられるはずだ。
「発令部の内容は休暇明けに伝えるよ。じゃ、俺は行くから」
「あ、グラヴェール艦長」
シャインは何か言いたげなジャーヴィスを残して修理ドックへと入った。
最初のコメントを投稿しよう!