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◇◇◇
『お前がこんな馬鹿なことをするとは、思わなかった』
どこか遠くの方で自分に話しかける、低い、かすれ気味の男の声。
シャインは未だ沈む意識の淵で、なんとなくそれを聞いていた。
ワイン蔵から出してもらえたみたいだが、恐らく執事が扉を斧で叩き壊したのだろう。内側からかんぬきをかけておいたのだから、そうでもしないと開けられるはずがない。
『どこまで私を困らせる……』
小さな嘆息。
アドビスがシャインの寝台へ近付く気配がして、先程よりもその声が近く、明瞭に聞こえた。
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