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『そんなに知りたいのなら、教えてやろう。私がお前の母を死に追いやった。私があのひとを殺したのだ。だから彼女の事を聞かれるのは、非常に不愉快だ。けれど……』
寝台の傍らへ膝をついたアドビスが、そっとシャインの額に手を触れ、節くれたごつい指で髪をすいていく。
思いがけないその行為と告白に、シャインは身を強ばらせていた。
目を開けることが怖かった。
ここにいるのは、本当にアドビスなのだろうか。
心臓の鼓動が早さを増して、シャインはえもいわれぬ不安で一杯になった。
その時、アドビスが何かをシャインの手の中に握らせた。
冷たい金属の輪の感触がする。――指輪。
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