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「うん。ロワールハイネス号の船体のペンキと同じ色だ」
「――ペンキ?」
「そう。エルシーア海より青味が強い色だけど。それが?」
シャインの言葉にロワールは体を強ばらせていた。
だがシャインは不思議そうにロワールを見つめている。
「どうかしたのかい? ロワール。口開けたまま、呆然としちゃって――」
「もうっ! そうじゃなくて!!」
ロワールは思わず両手に拳を握りしめて叫んでいた。
「シャイン! もっと言い方っていうものがあるでしょ?」
「……言い方?」
「そ、そうよ」
シャインは額に手をやり、眉間を寄せて考え込んでいる。
鈍感なのかわざとなのか。
ロワールはそれに体がむずむずするほどのもどかしさを覚えながら、何故自分がこんな恥ずかしい事を言わなければならないのか、それを疑問に思いつつも口にした。
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