87人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、『今日はいつもと違うね』とか、『素敵だね』……とか……ねっ」
語尾がもごもごしてしまったせいだろうか。シャインの顔色は冴えない。
「うーん。君がいつもと違うことは、さっき言ったような気がするけど。そのドレスだって俺の好きな色だし、君によく似合っていると思うよ。それ以上……何を言えばいいのか……」
ロワールは拳を握りしめたまま、疲れたように大きくため息を一つついて再び椅子に座り込んだ。ふくらむドレスの裾をばさばさとさばく。
「はーっ。シャインって、実は女心がまったくわかってないのね。だから、あの銀髪の婚約者さんも泣かせちゃったんでしょ?」
「……えっ?」
ロワールは半分やけになっていた。
シャインに今の自分の姿をみせたくてやってきたというのに。
だが彼にとっては、そんなことどうでもいい事なのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!