【幕間2】 船霊祭 -シャインの本心-

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「あの二人が何を君に言ったのか知らないけど、ディアナ様は王女を馬車に乗せるために、わざと婚約者のふりをしてくれたんだ。だから、彼女とは――」 「『なんでもない』っていう風には、見えなかったわよ」 「……」 「だってあの人――泣いていたんだもの」  ロワールがすかさず釘を刺すと、シャインは何か言いたげに唇を歪め、再び机の縁に寄りかかった。視線を床に落とし、右手を上げて頬に当たる前髪をかき上げる。そして小さく肩を上下させながら息を吐いた。 「俺は、彼女の気持ちに応える事ができない。だからそれが彼女の心を傷つけることになっても、そう言わねばならなかった」 「要するに、シャインは彼女のことが好きじゃなかったのね?」 「……ロワール……」  シャインは顔を上げ、ロワールの眼差しを受け止めると、否定するようにそっと首を横に振った。 「そういう風に決めつける程、人の心は単純じゃないよ」
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