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ロワールはシャインの顔をじっと見ていた。彼の青緑色の瞳は、深い霧がたちこめる湖の様で、いまいち本心まで見通す事ができない。
「あら、そんなのおかしいわ」
「なんだって?」
シャインの表情が一層硬くなる。言いたい事があるくせに、それを無理矢理噛み潰しているような顔だ。
「だって、シャインが本当に彼女の事が好きなら、その気持ちを無視する事なんてできないはずよ。だけどあなたは彼女の気持ちを否定した。それは、つまり彼女を愛せないってことでしょ?」
「――ロワール、俺は……」
はっきりしないシャインの態度にやきもきしつつ、ロワールは憤然と椅子から立ち上がった。
「シャイン、あなた勘違いしていない? 『好き』という感情を」
「えっ?」
ロワールはシャインの礼装の袖を引っ張り、今度は彼を椅子に座らせた。
「ロワール、何を」
「いいから座って! はやく」
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