【幕間2】 船霊祭 -シャインの本心-

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「あなたは優しい人よ。自分のせいで傷ついた彼女のことを気にしている。でもそれは、彼女の事が『好き』だからということではなくて、失恋した彼女を気の毒に思う『同情』なんじゃない?」 「……」  シャインは椅子に座ったままロワールから視線を逸らした。組んだ両足の上で手袋をはめた彼の手が、拳を作ってはそれを開く動作を繰り返している。 「ロワール」  しばしの沈黙の後。  シャインが疲れたように息を吐き出し、目の前に立つロワールをゆっくりと見上げた。 「そう、なのかもしれないな。俺は誰かを愛するということが、どういうことなのか、自分でもよく分かっていないんだと思う。だけど――」  シャインはうなずいて、先程よりも力強い眼差しをロワールへ向けた。 「俺はディアナ様のことが嫌いで、彼女の思いを拒否したんじゃない。俺はただ、俺が彼女の夫になれば、彼女はきっと寂しくて辛い思いをすることになる。それが何よりも嫌なんだ」 「……どうして?」 「どうして――って!」  シャインが信じられないといわんばかりに両目を見開いた。  椅子から今にも立ち上がらんばかりの勢いで口を開く。
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