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「シャイン。あなたの気持ち、もうはっきりしているはずよ。だってあなたは、彼女を愛する事ができない理由ばかり探してるんだもの」
「……なんだって?」
シャインがため息とも独り言とも言えない抑揚でつぶやく。
「だってそうでしょ? あなたは彼女の事が好きなのかも知れない。けれどその気持ちは、すべてを捨て去るほどまでの、大きな気持ちではないってことよ」
「……」
シャインが薄い唇を結ぶのが見えた。
細めた青緑の瞳に険悪な光が宿るのが見えた。
組んだ両手の指に力がこめられ、白い礼装の袖にくっきりと影が落ちる。
まるで自分の感情を抑え込むように。
「そうでしょ、シャイン?」
ロワールはそっとシャインの座る椅子の背後に回ると、その肩を覆うように両腕を伸ばして抱きしめた。
そして頬から暖かく伝わってくる、彼の体温を感じながらささやいた。
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