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「私の知っているシャインなら――本当に愛する者のためなら、きっとすべてのしがらみや立場を捨てて、自分の思いを通そうとするわ。でもあなたは、ディアナさんのことを気にしていても、そこまでするつもりはないの。それが本心だから自己嫌悪に陥ってる。だから自分自身に、彼女を愛せない言い訳ばかりしているのよ」
「……」
シャインはロワールの言葉にしばし返事をしなかったが、肩に回したその腕を、振り解くということもしなかった。
「――君は、何でもお見通しっていうわけだね」
やがて低い声でぽつりとシャインが口を開いた。
明らかにその口調には覇気がない。
「あなたの心を読んだわけじゃないわ。あなたの立場になって考えてみただけ」
ロワールは腕を解こうとしたが、手首をシャインの右手がそっと掴んだ。
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