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「君の言う通りだよ、ロワール。俺は、ディアナ様とは良き友人でありたいと思っている。だって俺は……今の俺には、何よりも大切なものがあるから」
「シャイン」
「船乗りをやめれば、俺は今の生活を捨てる事になる。それだけはできない。やっと手に入れた……俺が、俺自身でいられる唯一の居場所を、今は手放したくない」
シャインがゆっくりと首を後ろに回す。目が合った途端、ロワールは彼の金の前髪の間からのぞく青緑の瞳をのぞきこんでいた。もはやそこに霧はかかっておらず、深くて静かな、それでいて強い思いに満ちた光が宿っていた。
「今の俺は、ロワールハイネス号がすべてなんだ。だからこそ――思う時ががある……ロワール」
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