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頬と頬が触れあう近い距離だというのに、シャインの視線は自身が抱く思いと同じように、まっすぐロワールをとらえている。
シャインがロワールハイネス号へ抱いている想いの深さは尋常ではない。
それがわかっているから、余計ロワールは気恥ずかしさを覚えた。
――そんな迷いのない目で見つめないで。
シャインの気持ちはとてもうれしいが、それが一層あることを強く意識させられる。
どんなに願っても、私は――。
「君が……もしも――」
やはり、シャインもそれを思っている。
ロワールはシャインの視線から背けるように目を閉じた。
本当は耳を塞ぎたかったが、シャインの肩に回したそれは、彼の手が乗っていて動かす事ができない。
けれど何時まで待っても、ロワールが恐れているその言葉をシャインは口にしなかった。その代わり、ロワールの手を掴んでいる彼のそれが、一瞬だけ強く握りしめられた。
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