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「シャイン~あと、どれくらいー?」
「この階段を昇ったらすぐだよ」
「すぐって、さっきもそう言ったわよー?」
ロワールは喘ぎながら、古めかしい石造りの螺旋階段を昇っていた。石壁は黒い大理石のようにすべすべとしているが、年代的に古いものなのだろう。時折その表面が剥がれ落ちているのが、壁にかかった薄暗いろうそくの光の中に見える。
海軍本部三階の閲覧室から出たシャインは、その廊下をまっすぐに歩き、厳めしい一つの扉の前で立ち止まった。その扉を開けると、そこには果てしなく上へと続く螺旋階段が、ロワールの目に飛び込んできたのだった。
実際階段を昇っていた時間は十分ぐらいだったが、ロワールには永遠のそれが流れたように感じられた。
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