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「ついでに言うと、海神・青の女王の御手に委ねられた、海で死んだ者達が故郷に帰ってくる日も今日なんだ。彼等はこの明かりに導かれて、海で沈んだ船に乗って帰ってくる」
ロワールはぶるっと体を震わせた。
街の明かりはとても幻想的な光を放っているが、黒々とした海には青白い小さなそれが、波間を漂うようにいくつも灯っているのが見えたからだ。
そしてそれは時が過ぎるごとに数を増していくようだった。
「シャイン、あなた、それが見えるの?」
思わずそう尋ねると、シャインは低く笑って否定した。
「それって、海に沈んだ船のことかい? まさか。それは古くから、このアスラトルの街に伝わる言い伝えだよ。でも君は、陸側から海や街を見た事がないだろう? 船霊祭の夜の月はとても綺麗だから、この夜景を君に見せたかったんだ」
ロワールはにっこりと微笑した。
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