【幕間2】 船霊祭(完)

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 ロワールはそんなシャインの頬に手を伸ばした。手の甲にかかる彼の髪が月の光に透けて眩しい。それに目を思わず細める。 「私ね、シャインとこうして、二人っきりで話をしたかったの」 「話なら、いくらでもしようじゃないか。夜はまだ半分残ってる」  ロワールはふふっと微笑を漏らした。 「ロワールハイネス号で待ってるわ。ホープさんが船体のペンキを綺麗に塗り直してくれたの。このドレスみたいな色で」  そういうとシャインが肩をすくめてため息をついた。 「……まだ根にもってるのかい?」 「そりゃそうよ。私がどんな思いで、ここまでやって来たか、ちゃんと最初から話してあげ……!」  ロワールは感じていた。  今まで意識していたかりそめの体から、感覚が急速に失われていく事に。  肩を掴むシャインの手も、そこから感じる彼の温もりも、水のように流れて消えていく。船に宿る『魂』が、陸を歩ける魔法の時間はこれでおしまい。 「今夜はロワールハイネス号に戻る。だから、俺が来るのを待っててくれ」  眩しい銀と金の光の中で、シャインの声だけが響いていた。
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