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「……!! ロ、ロワールっ!?」
クレセントが素頓狂な声を上げる。
「ナイショ。ぜーったいに教えない。じゃ、私は今日アスラトルを出港する予定だから、ハーフムーンによろしくとありがとうを言っといてくれる? お姉様ったらまだ寝てるみたいなの」
「……仕方ないわね」
両手を組みながら、クレセントはうっすらと微笑していた。
「ロワール、どこへ航海するか知らないけれど、気をつけてね」
「ありがと。クレセント。でも心配は無用よ」
ああそうか、とクレセントの目がうなずいた。
だがロワールはそれを見ていなかった。
光を増した東の海と空に気をとられていたからだ。
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