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茶髪を刈り込んで角張った顔のグラッドの方が、ヴィズルより五つほど年上だが、彼は乗船経験が足りないため航海長の資格を保持していない。
グラッドはヴィズルが、まあ合格点をやろうかと思う程の腕だった。
思いがけない事態が起きない限り、平素十分任せられるレベルだ。
これなら結構楽できるかもしれない……ヴィズルは満足げにほくそ笑んだ。
その時だった。
下の甲板から階段を上がってくるジャーヴィスの姿が見えたのは。
疲れないのか? と一言いってやりたくなるくらい、眉間に縦ジワを浮かべた副長は、その青い瞳を微動だにせずヴィズルを見つめていた。
ヴィズルは風を気にしている様を装って、ミズンマスト(最後尾)にはためく風見を見上げた。
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