3-1 風の報せ

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「どんな手を使ったのだ?」 「私はジェミナ・クラスへ先回りし、ロワールハイネス号で到着したディアナ様の警護をアリスティド公爵から依頼されていましたので、港までお迎えに上がったのです」  アドビスは思い出した。  ロイスの本当の職業はアドビスの密偵ではなく要人警護だ。  それで生計を立てるラングリッター家は、古くからグラヴェール家と縁があり、両家は知らぬ仲ではない。 「ディアナ様のお話を伺った限り、やはりシャイン様が『船鐘』に宿る『船の精霊(レイディ)』と接触したのは間違いありません」 「……」 「アドビス卿?」  ロイスの怪訝な声でアドビスは我に返った。 「あ、ああ。そうか。わかった。後は書面で報告を頼む」  いつになくアドビスは不安を覚えたが、それをロイスに悟られるのはまずい。  ロイスは信用できる男だが、少々お節介な面がある。  アドビスの懸念をシャインへ伝えられると面倒なことになる。
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