3-22 裏切りの砲火

3/14
前へ
/659ページ
次へ
 ◇◇◇  二日前にファスガード号に救助されたシャインは、ノーブルブルーの旗艦だった1等軍艦アストリッド号に何が起ったのか、偶然知った。  二昼夜波間を漂ったせいで、さすがに身を起こすだけの体力も尽きていた。  怪我人や病人を収容している第二甲板の船室で、その時寝かされていたハンモックの隣にいたのは、アストリッド号に乗っていたという若い金髪の士官だった。  見た目、ほとんど同い年の彼は左腕を肩の下から失っていた。船体が被弾した際、飛び散った木片を体全体に受けてしまったのだと言う。  自らの死期を悟っていた彼は、苦しい息の下、シャインに誰にも口外しないことを約束させてささやいた。
/659ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加