3-22 裏切りの砲火

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 ルウムはシャインへ視線を向けると再び頷いた。 「ロワールハイネス号は小さいが俊足で良い船です。ここまで二十五日ぐらいでたどり着いたのですから、たいしたものです」 「しかし急ぐあまり、危険な海域を通ってきたのは感心せんが……な」  暗に海へ落ちた事をにおわされて、シャインは額へ手を当てた。  無謀と思われて当然の行為だろう。 「以後は、気を付けます」  シャインの返事に、ラフェールは小さくうなずいた。  ビリビリビリッ!  サロンの両舷の四角い窓ガラスが、割れんばかりに激しく振動した。  足元の床にも、ずーんと重い衝撃が走る。 「何だ!?」  ラフェールが鋭く呟くと、ファスガード号全体が次の瞬間グラッと左舷側へ傾いた。  カッと目を見開いたルウムは、船壁に手を張り付かせ、激しく震える窓ガラスの外をちらりとのぞくと絶叫した。 「伏せろーー! 早く!!」
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