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「エルガードの人間は、誰も、信用できぬ。それが今、実証された……」
「ですが、ファスガード号の砲門を開けば、浸水が早まります! ファスガードも沈む事に!」
半ば叫ぶように反論しながら、シャインはラフェールの青白い顔に、微笑がのぼるのを見た。
「ああ……ファスガード号も沈む。いや、沈めなければ、ならぬ。これほどの火力の船を、ムザムザ海賊などに……くれてやるものか……わかるだろう?」
ぜいぜいとラフェールは苦し気に喘いだ。
「提督……」
「行け。手後れにならぬうちに」
ラフェールは握りしめていたシャインの服の襟から手を放し、もぞもぞと布団の中を探った。そして細長いものをシャインへ押し付けるようにして渡した。
ずっしりとした重みのあるそれは、金の豪勢な拵(こしら)えを施した、細身の佩剣だった。
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