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「若いそなたに頼むのは、心苦しいが……他におらぬ。だが、そなたは、戦友アドビスの息子だ。きっと、やり遂げてくれるであろ、う」
まだ何か言いたげにラフェールは口を開きかけたが、それが最後の息になった。
急速に光が失われた双眸を、シャインは震える手で静かに閉ざした。
いろんなことが頭の中をかけめぐり、どうすればいいのか、一瞬呆然となる。
どうしてこんなことに。
鈍く光るラフェールの剣を見つめたシャインは、改めて指揮の委任を受けた事を思い出し、それをベルトの留め金に取り付けた。
急がなければならない。
シャインは寝かせてあるジャーヴィスの所に戻った。
「ジャーヴィス、外へ出なければならない。立てるか?」
そっとジャーヴィスの腕を取る。
目を閉じたジャーヴィスは、小さな声で、けれど鋭くささやいた。
「私を置いて、行って下さい――早く!」
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