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空気を震わせながら重々しい砲声が聞こえる。
それは一斉にまとまって放たれているのではなく、単発的に聞こえることから、エルガード号の統率はあまりとれていないのかもしれない。
シャインは躊躇(ちゅうちょ)しなかった。
ジャーヴィスが何を言おうとも。
床に膝を付いてジャーヴィスの上半身を起こし、その右腕をつかむと自分の肩に回す。
最悪の場合ファスガ-ド号は沈む。
ジャーヴィスをここへ残す事などどうしてできよう。
「艦長……あなたは成すべき事が、あります。だから……」
耳元でやっと聞こえるぐらいの声がする。
シャインは唇を噛んで目を伏せた。
身を振りほどこうとするつもりなのか、掴んだジャーヴィスの右手がゆっくりと空をかく。背中の傷のせいで息をするのも苦しいだろうに。
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