3-23 決断

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「あの子、泣いてるの。私達を助けられないなら、早く終わらせて……」 「ファスガード……」  心境を見抜かれて、シャインは自らの傲慢さを思い知った。  船の精霊に嘘をつくことはできない。  できれば船を沈める事を回避したい。そしてエルガード号を取り戻したい。  しかし悲しいかな、海軍に在籍して六年たつが、こんな海戦を体験するのは初めてだ。  しかも相手は1等軍艦アストリッド号を沈めた連中で、どうやらエルガ-ド号にも紛れ込んでいたのだ。  自分には船を取り戻す手立てなど思い付かないし、そんな余裕もない。  できることといえば、ファスガード号がやられる前に、海賊もろともエルガード号を沈めることだ。 「すまない。せめてラフェール提督やルウム艦長がいたら……君達を失わずにすんだはずだ。俺があの人達の代わりになればよかった」 「そんなこと――言ってはだめ。あなたはあなたのできることをすればいい。私は、できるだけ長く浮いていられるようにがんばるから」
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