3-26 燃えさかる甲板で

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「さ、こんな所に長居は無用だぜ。行こう」  また一歩近付いたヴィズルは、いつものちょっとおどけた表情と声色でそう言うと、皮の手袋をはめた右手をシャインへ差し出した。 「……そうだね」  ほっとしたシャインは、右手を伸ばそうと腕を上げた。 『だめよ! 早く離れて!』 「ロワール?」  頭の中をえぐるように声が響いた。  シャインは痛む額を上げかけた右手で押さえた。ガタがきていた足がふらついて、ラフェールの剣の重みのせいで上半身が左によろめく。  その時シャインは、自分の右脇腹の下をかすめてゆく銀の刃を目にした。  刀身と同じ、鋭い光を宿したヴィズルの瞳と共に。  シャインは右足に力を込めて、前のめりになりかけた体勢を何とか立て直すと、振り返りざまにヴィズルから離れた。
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