3-26 燃えさかる甲板で

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「ヴィズル。君の目的は一体……」 「一応礼は言っておく。あの鐘は二十年間ずっと眠り続けていた。俺の手で起動させようと思っていたが、お前のお蔭で手間が省けた」 「どういうことだ。説明してくれ!」 「説明? その必要はない。『船鐘』とロワールは俺の手中にある。お前はもう必要ない」 「ヴィズル!」  おもむろにヴィズルはシャインへと歩を進めた。  燃え盛る火の粉を受けて、赤く光る短剣の刃を顔の前にかざしながら。 「いや……あと一つ、役に立ってもらおうか。アドビスの野郎に、苦痛を与えるためにな!」  ヴィズルの短剣が闇の中で光の弧を描く。  確かな狙いで斬り付けられたそれを、シャインは鼻先のきわどい差で躱した。  手首を返し再びヴィズルが切り付けてくる。  シャインはさらに後退して、執拗に繰り出されるヴィズルの刃を避けた。  と、背中に固い物がぶつかった。  艦長室の板壁に追い詰められたのだ。
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